乾小天守
一階(耐震診断結果を受け、現在非公開)
丸柱と角柱
大天守の柱はすべて角柱ですが、乾小天守には角柱とともに丸太柱が使われています。梁にも丸太が使われています。一階の中央にある管柱(その階だけの柱)は創建当時の栂の丸太柱です。一・二階の一番外側の柱(側柱)はすべて丸柱です。
一・二階は5間×4間、三・四階は3間×3間です。一・二階側柱はすべて丸柱。三・四階は12本の側柱のみで、すべて創建材で400年以上経っています。
乾小天守の柱と柱の間隔は、6尺一間で約182センチメートル。大天守のそれは、6尺5寸一間で約197センチメートルの寸法で建てられています。
出桁(だしげた)構造の腕木
初重の屋根の垂木を受ける出桁を支えるために、太い腕木が一階天井隅に突き出ています。
二階(耐震診断結果を受け、現在非公開)
水切の穴
武者窓の敷居中央に穴が開いています。これは武者窓を閉めている間に雨が降った場合、雨水が敷居を伝わってこの穴に流れ込み、外に排出される仕組みです。
隅棟を構成する隅木
初重の隅棟を構成する隅木が柱を貫いて二階内部に飛び出しています。飛び出した隅木の木口部材にカバーをかけてあるので、写真のようなものが隅の柱に付けられています。
三階(通常非公開)
真っ暗な階
乾小天守二重目屋根がこの階の周りを巡っているため、窓が造れません。大天守三階の構造と同様です。大天守三階は南に千鳥破風を設けてこの武者窓から明かりを採っていますが、乾小天守には明かり採りもないので真の闇です。
四階(通常非公開)
花頭窓(かとうまど)
本来は火灯窓ですが、火を嫌うことから花頭窓あるいは華頭窓と書きます。四階の北と西の二か所にこの形の窓があります。中国から鎌倉時代に伝えられた仏教建築の様式で、天守建築では格式の高い窓とされています。辰巳附櫓の南北にもこの窓がつけられています。
桔木(はねぎ)構造
大天守六階の屋根裏にも桔木構造が見られます。屋根裏を見上げると写真のように放射状に桔木が外側に向かって配置されています。これはテコの原理を使って天守最上階の屋根の軒先が下がらないようにするための装置です。屋根の中央部分の重量が力点にかかり、作用点は軒先になります。この仕組みは鎌倉時代の寺院建築から採用されています。