松本城伝説

玄蕃石伝説

伊深いぶか(松本市岡田、別に山辺山という説もある)にとても大きな石がありました。太鼓門の脇にすえる石にちょうどよいということになり、石川玄蕃頭康長いしかわげんばのかみやすながみずからが石の上に乗り、お城まで運ぶことになりました。

ところが、石を運ぶ人々の中に一人、不満を言う者がいました。それを聞いた石川康長は石から飛び降りると、不満を訴えた者を呼びだし、大勢の前で首をはねました。槍をとると、その首を突き刺して高くかかげ、ふたたびその大石の上に飛び乗ると「者ども、さあ引け!」と大声で号令をかけ、石を引かせました。

このできごとがあってから、誰がそう呼び出したのかは分からないけれど、その大きな石を玄蕃石げんばいしと呼ぶようになりました。
このような名前がついた石は、珍しいです。